伊予市の建築文化財の保存と活用
花岡直樹先生の講演
愛媛県歴史的建造物保全活用資格者(ヘリテージマネージャー)の講習を終えて以来、久しぶりに花岡直樹先生の講演を聞くことができました。伊予市役所で行われた講演会の参加者は100名を越えていたようで大盛況。建築士会でも花岡先生の講演は人数が集まるといわれていますが、今日もその人気ぶりを見た感じです。
講演内容は「伊予市の建築文化財の保全と活用」でした。愛媛県の多くの建築物を調査し記録し続けた、故・犬伏武彦先生が撮られた写真を使った、分かりやすくて興味深い講演でした。
愛媛県の重要文化財
全国の重要文化財(建造物)の中で国宝は223件282棟あります。そのうち愛媛県には3件あります。少ないと思われるかもしれませんが、223件の中で奈良と京都が115件を占めています。ということを考えてみれば、3件というのは決して低い数字ではありません。
ちなみに、その3件とは次の3件です。(松山市HPに飛びます)
松山市 石手寺仁王門 石手寺二王門 1棟 松山市ホームページ
松山市 大宝寺本堂 大宝寺本堂 1棟、附 厨子1基、棟札1枚 松山市ホームページ
伊予市の文化財 (登録済のもの)
国指定重要文化財 なし
伊予市指定文化財 薬師堂 宝珠寺本堂 萬安港旧灯台 三島神社二重門 牛の蜂地蔵尊 翠小学校校舎
国の登録有形文化財 福田寺本堂・通玄庵・山門
宮内家住宅が登録文化財に
そして、2018年、伊予市にある宮内家住宅の主屋や隠居所、古隠居、潮見堀の4件が登録有形文化財に登録される見通しとなりました。これで県内の登録有形文化財は123件となります。
写真の主屋は、灘町を開拓した宮内九右衛門の孫に当たる宮内小三郎が江戸中期(元文3年・1738年)に建てたものです。木造2階建て、屋根は切妻造本瓦葺きの平入り、延べ面積476.34㎡、2階部分の天井の一部が通常より低い「つし2階建て」となっています。
私見として
現在、主屋の一部は「ミュゼ灘屋」という多目的スペースとして貸し出されています。歴史的建造物保全活用資格者として、建物が保全だけでなく、地域で活用をされている事にとても興味を覚えています。そして、ミュゼ灘屋でのイベント時、近隣の銀行や市役所の駐車場が無料開放されるという応援体勢も、素晴しいと思っています。
松山市の文化財だけでも見きれていませんが、色々と勉強をし見聞を深めていければと思っています。