擬洋風建築 宇和島市立歴史資料館
擬洋風建築
ヘリテージマネージャーの勉強をしたときに、擬洋風建築というものを習いました。明治初期の文明開化の時代に、日本の大工さんが西欧の技術を懸命に習得し、デザイン的には西洋風でありながら和や中国の要素を盛り込んで建てた建築物です。寺社建築に精通した棟梁の指導のもと、寺や神社風な装飾がある場合もあります。
宇和島市立歴史資料館
明治17年(1884年)9月、宇和島広小路に「宇和島警察署」として建てられたのが423平方メートルのこの建物です。木造寄せ棟造り二階建の棟の中央に三角ペディメントを戴く二層車寄せを設ける様式となっています。戦災を免れたあと、昭和28年(1953年)に南宇和郡西海町役場として移築されましたが、平成2年に新庁舎の建築と共に役目を終えました。その後平成4年に現在の場所:宇和島市の樺崎砲台跡の側に移築復原されました。
(歴史資料館の2階より見える砲台跡)
玄関ポーチの落とし掛けのアーチの中央には、キーストーンに模したものを設けています(木材です)
玄関を入ると、左手の部屋は高畠華宵(たかばたけ かしょう)の作品が展示してあります。この中は写真撮影は禁止となっています。
1階廊下の天井照明はレトロで美しいものです。
2階に上がると、展示室があります。天井材の一部は剥がされていて、そこから小屋組みを見る事ができます。
かぶら束を中心に放射状に組まれた合掌は、当時珍しかった西洋建築の小屋組み「トラス構造」の再現です。
展示室の外にはバルコニーがあります。
バルコニーの足元は屋根に続く板金となっていますが、建築当初の材料ではなく、劣化をふせぐために後からかぶせられたものかもしれません。
展示室の別の部屋には、アートや工芸作品、昔の消防ポンプなどの展示があります。が、展示数は多くはありません。
展示室の天井の隅には通気口があり、おしゃれな装飾が施されています。
窓は上げ下げ窓となっています
西日本には擬洋風建築が少ないことからも、当時の宇和島の先駆性を物語る歴史的価値の高い建物であるといわれています。平成8年(1996年)には登録有形文化財となりました。
利用案内
宇和島市立歴史資料館
宇和島市住吉町2丁目4-36
休館日:月曜日(祝日または振替休日の場合はその翌日)
開館時間:午前9時~午後5時
入館料:無料
駐車場:数台の無料駐車場あり