みやびの猫と建物ときどき日記

愛媛県に住む二級建築士兼インテリアコーディネーター、そしてヘリテージマネージャー(歴史的建造物保全活用資格者)です。気になった建物、好きなインテリア、趣味(箏と読書)、そしてうちの5匹の猫たちをご覧いただけたらと思います。

東京府名勝図絵にある辰野金吾氏の建物

縁があって、東京府名勝図絵という本(というか名所案内)をいただきました。明治45年の発行です。

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表紙には馬に乗る軍人さんが描かれてあって、時代を感じます。

中をめくると、東京駅のような建物がありました。でも、よく見ると、広場に銅像があて、なんだかちょっと違うような気がします。

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それで調べてみると、これは東京駅ではなくて、万世橋駅だということがわかりました。東京駅が開通したのは1914年(大正3年)。その2年前1912年(明治45年)に完成し1923年に関東大震災で焼失した幻の建物です。設計は東京駅と同じ辰野金吾氏です。広場の銅像日露戦争の軍神として祀られた広瀬中尉でした。右下の写真の建物は神田郵便局です。

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他のページにも東京の写真がいくつもあり、何ともレトロモダンな世界が広がっています。もし関東大震災が無かったら、もし戦争がなくてこの街並みが残っていたらと思わずにはいられません。

この東京府名勝図絵は国立国会図書館デジタルコレクションに同じものがあり、公開されています(著作権が消滅しています)。ご覧になりたいかたは、こちらをどうぞ。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/764195/3

ただ、不思議なことに表紙が違うんですよね。国立のほうには正しく東京府名勝図絵と書いてあります。

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 途中で間違えたと気が付いて差し替えたのかどうなのか、事実を知る人は皆お墓の中。歴史の中の小さなミステリーでした(*^^*) 

東京駅の扉 辰野金吾没後100年に捧げる31の物語

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建築探偵の冒険〈東京篇〉 (ちくま文庫)

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