みやびの猫と建物ほぼ毎日日記

愛媛県に住む二級建築士兼インテリアコーディネーター、そしてヘリテージマネージャー(歴史的建造物保全活用資格者)です。気になった建物、好きなインテリア、趣味(箏と読書)、そしてうちの5匹の猫たちをご覧いただけたらと思います。

重要文化財 八幡浜市立日土小学校 2

記憶が薄れないうちに書かなければ、と思うのですが、日々のもろもろの中ではそうもいきません。ちょっと間があきましたが、松村正恒設計の日土小学校の続編です。

この、一見山小屋風の天井の部屋が学校の中にあるって、面白いですよね。これは図書室の天井です。照明は、このランプ型照明一つしかありません。そして壁にある黄色い輪っかは竹で、星が好きなかたにはお分かりでしょうが、星座になっています。

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(こちらはさそり座 夏の星座です)

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(こちらはオリオン座 冬の星座です)

「暗いところで本を読むと目が悪くなる」と言われたことはありませんか?終戦後のまだ電気が十分でなかった時代、照明からの光ではなく太陽の光がこの部屋を明るくしています。しかも、太陽光が直接入るのではなく、障子が明るさを拡散します。

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真四角ではない机も松村氏のデザインです。

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子ども用の椅子も、もちろん松村氏のデザインです。

特筆すべきはこのテラス。図書館の奥には川の上に張りだしたテラスがあるのです。ベンチが4つ置いてあります。卒業生たちが学校で一番好きだったところを訊かれると一番多い答えがこのテラスなのだそうです。緑のガラスも当時の仕様です。

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(テラスの向こうはミカン山)

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当然ながらこの川への張り出しは法律的には問題があり、当時はお役所からかなりの指導があったようですが、何度も熱心な話し合いをして解決されたそうです。

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川の水音、水面にうつる光、働く近隣の人、みかん畑、学校はあらゆるものと繋がっているということと、季節ごとの自然の魅力を、生徒は6年間この日土小学校で感じることができます。

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現代では、生徒の気が散るからと、窓をすりガラスにする学校もあるなか、外とのつながりを求める松村氏の設計は、大らかで優しく感じられます。

ところで、窓を見て、何か不思議な感じがしませんか?

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柱の外側に窓ガラスがついています。そのまま柱に窓ガラスを付けてしまうと窓ガラスの面積が狭くなってしまいます。そのため、構造材としての柱よりも外に窓を配置しています。

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目を見張る思いでした。

 

建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム

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無級建築士自筆年譜 (住まい学大系)

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