みやびの猫と建物ときどき日記

愛媛県に住む二級建築士兼インテリアコーディネーター、そしてヘリテージマネージャー(歴史的建造物保全活用資格者)です。気になった建物、好きなインテリア、趣味(箏と読書)、そしてうちの5匹の猫たちをご覧いただけたらと思います。

建物探訪 西条栄光教会

教会に行くと、異端者である自分がここにいてもいいんだろうか?という気分になります。熱心な仏教徒ではなく(でも死んだらお寺です)、神社巡りも好きで、キリスト教徒ではないのにキリスト教系の短大に行った宗教適当人間としては、信仰を持っている人が集まる場所に居るのは実はちょっと勇気がいるんですよね。クリスチャンの友達がいればこそ訪問できたという感じです。

先日は、西条教会のあと、西条栄光教会に行きました。

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シンプルで品のある建物は、倉敷アイビースクエアを設計したのと同じ、浦辺鎮太郎(うらべしずたろう)氏(1909-1991)の1951年の作品です。

日本瓦の乘った白い礼拝堂と牧師館、幼稚園の3棟が渡り廊下で繋がった建物で、景観に配慮した文化的価値の高い建物となっています。当時、教会建設への寄付をクラレ西条工場にお願いしたところ、幼稚園も経営するなら補助をするといわれたため、3つの建物を建設することになり、しかも当時のクラレ本社営繕部長であった浦辺氏から「一生に一度キリスト教街堂を設計したいから」との申し込みがあったそうです。

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(礼拝堂の建築模型 現在の補修計画のため作られたもの)

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漆喰の白い壁と、濃い木壁のコントラストが美しい礼拝堂です。

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床は木レンガのため、寒くなく、足にやわらかいです(が、経年変化で凸凹あり)

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途中でコールタールを塗ったそうです。今後の復旧が課題です。

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背面上部には、昔は合唱隊が歌っていた場所があります。途中でガラスを入れてしまったそうです。天井の梁は当時のままです。

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2階から見下ろしたところです 中央列の照明は竣工当時のものです

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教会の椅子裏の板は、はめ込むと聖書が置けるようになっています

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外の鐘を下から見上げたところです。100年くらい前の鐘だろうということです。

 

キリスト教会の見学は貴重でした。信徒でない私にも皆さんとても親切で温かく嬉しかったです。また他の教会も見て見たいと思っていますが、その折りはどうぞよろしくお願いいたします。

そして、できればヘリテージマネージャーでも来れたらいいなと思います。

 

建築データ

場所:愛媛県西条市明屋敷236番地3

構造:木造平屋建一部2階及び鐘楼付瓦葺側壁モルタル

大きさ:8m180×19m110(4.5間×10.5間)

床面積:1階 153.58㎡(46.5坪)礼拝堂

    2階  18.58㎡(5.6坪)

着席定員:105名 5人掛長椅子×21脚

講壇面積:2m×5m 10㎡

(この数字は日本基督教団・西条栄光教団発行が2000年に発行した「あゆみ」のものです。このあと現地調査を行ったかたの資料と誤差がありますが、ご了解ください)